2019年に参加する2回目の400kmブルベはオダックス近畿主催の BRM601 近畿400金沢のといち。2015年と2017年に参加しどちらもDNFしたブルベで、今回こそ3度目の正直の完走を狙っていた。2017年は雨で挫けたので天気予報は良かったけれどレインウェアを上下とも携行した。
前日の夜に自宅を発ち、BRM511の時と同じ金沢市内の公共施設に駐車して車中泊した。4時過ぎに起床して前日に購入したおにぎりで朝食を済ませ、身支度を整えてスタート地点の金沢駅東口に5時過ぎに移動。明るくて気温も上がり始めており、日差しも強くなりそうなので日焼け止めを厚めに塗った。ウェアはトップが長袖の登山用アンダーウェアに半袖ジャージ、ボトムがロングのビブタイツにして防寒用に薄いウィンドブレーカを携行した。
5時半からブリーフィングが始まった。廃線により鉄路が減り終電時間も早い能登半島はDNFポイントが限られるようで入念な説明があった。ブルベの時は輪行袋は常に携行するようにしておりいつでもDNFできるのだけど、機材の故障など走行不能になった時のエスケープが能登半島は難しいらしい。過去にディレイラーやリアライトが後輪に巻き込まれて走行不能になったことがあるけれど、どちらも駅が近くて助かっている。
スタート〜PC3
車検を受けてスタート。金沢市街地を抜けて日本海方向に向かい、砂地が多くて海を感じられる道を北上していく。最初は集団で走っていたけど信号や上り坂で離れ始めいつしかいつも通りの独行になった。この辺りはブルベに初めて参加した2014年BRM510近畿300丸岡でも通った道で、その時の主催者も今回と同じTさんだった。
砂地にハンドルを取られながら千里浜を通過し、志賀町のPC1に8時過ぎに到着した。ドリンクとパンを購入して出発し志賀原発の横をパンを食べながら進む。徐々に小さなアップダウンが増えてくると半島各地の景勝地に近づく。巌門を見下ろし味わい深い漁港を過ぎ素掘りのトンネルをくぐり、交通量が少なくのどかな道路を進む。ヤセの断崖に設けられた有人通過チェックポイントには10時前に到着した。追い風なので楽に進めるが気温も上がりだいぶ暑くなり、いただくお茶が美味しい。
ヤセの断崖からも海岸線を進む。海を少し離れ古い街並みが残る天領黒島や門前を抜け、再び海に近づくと竹垣に囲まれた家が見え始めた。通過チェックの大沢の真垣の里に到着し、通過を証明する竹垣の写真を撮影して集落を離れるといきなりの急登が待っていた。輪島市街地には12時前に入り、お祭りで賑わう街中をゆっくりと進みながら昼食を摂れるお店を探すと、朝市の開かれる通りにロードバイクが2台停まっている海鮮のお店があったので、入店し朝市丼@2000えんを注文した。塩分を失った体に醤油の辛さが心地良い。
食事後、輪島市内に設定されたPC2のコンビニに12時半ごろ到着した。水と種ぬきの梅干しを購入し、携行した手ぬぐいを濡らして首に巻くようになって若干の涼を取る。スポーツドリンクの甘さをきつく感じるようになったので、ここからは砂糖抜きのドリンクを中心に購入した。
輪島を離れ、同じような素晴らしい景色が続き交通量の少ない快適な道路を東に向けて進む。小さな起伏が続き椿峠という結構な急坂もありなかなかしんどい。能登半島のほぼ先端にある道の駅狼煙の有人チェックポイントには14時半ごろ到着して通過を確認してもらう。振る舞いで頂いた紫蘇ジュースのソーダ割りと御菓子が疲れてきた身体にありがたい。
道の駅を出発するとランプの宿の看板があったので立ち寄ってみる。宿の裏の崖の上に立派な駐車場がありアクセスは容易で秘湯感はあまり無いけれど、新しい路面だったので以前は秘境だったかもしれないし、写真をうまく撮ると秘湯感が出るのかもしれない。
PC3〜フィニッシュ
PC3の珠洲市のコンビニには16時ごろ到着し、アイスと麦茶を補給した。日差しは強いので暑く感じるけれど気温はそれほど高くなく、身体が暑さに慣れていないのかもしれない。PCの少し先の見附島でコースをミスし、行き違う参加者に教えてもらう。しばらくすると鉄道の跡が所々に見え始めたので、後日調べると2005年に廃線になったのと鉄道の跡地だった。参考にしたHPによると路線単独では黒字を達成していたらしく、地域にとっては重要な鉄路だったのだろう。地方の鉄道の廃線は増えている。利用者や自治体の負担など大きな課題はあるけれども、自動車を運転できない人たちのために残すべきインフラストックなのだろうか。自動運転技術の普及が進めばさらに必要性は減るのだろうか。
通過チェックののときんぷら入口には17時ごろに到着した。その先の漁港周辺で少し迷った後で通過チェックの宇出津のコンビニに18時前に到着。パンとオレンジジュースを補給する。海岸線を南に向けて進むとしだいに日が暮れ始める。キューシートで魔境と表示された区間に入ると道幅が狭くなり秘境感が増す。こういう所は一人で走ってこそ味わい深いが次の通過チェックまでは4人ほどのパックになった。寂しくて声をかけたわけではないけれど。
通過チェックの諸橋郵便局を18時30分ごろに通過し、夕暮れの写真を撮ることを心の口実にしてパックを離脱する。うまく撮れなかったけれど。魔境区間を終え穴水に入るころには真っ暗となった。釣り人で賑わう公園があったので東屋で長めの休憩を取り、宇出津のコンビニで購入したパンを補給する。この東屋は2017年のブルベの時も立ち寄って仮眠を取り、その後DNFしたところだ。この頃からシートポストとサドルレールを繋ぐボルトがが緩み始め、時々停まってはシートバッグを外して締め直す。前回のブルベで緩みまくったのでしっかり締め直したと思ったが再発してしまった。
次第に交通量が減り能登島に渡ると更に行き交う車は少なくなる。PC4のコンビニに21時半ごろ到着し、麦茶、カップヌードル、おにぎりを補給した。行程の4分の3を終えて残りは100kmだが眠気が訪れる時間帯に入り出す。
能登島を離れ、ちょっと賑わう和倉温泉と七尾の市街地を通過し再び寂しい区間に入り、7つめでかつ最後の通過チェックの鵜の浦バス停は23時過ぎに到着した。数人の先行者にここで一瞬追いつくが、写真を撮る間に見えなくなり独行が続いた。
国道に復帰してまもなくすると立派な屋根と壁があるバス停があったので30分ほどベンチに横になり仮眠を取った。少し眠れたので幾分かスッキリし、氷見の道の駅で顔を洗い歯を磨いてさらに眼を覚ます。最終PC手前の長い下り坂でミラーが外れ落ちてしまうがなんとか回収できた。小さなミラーだがあると安全だし後方確認のし易さが全く違う。PCの高岡のコンビニには2時ごろ到着し、イートインでどら焼き、ヨーグルト、コーヒーを補給し最終区間に備えた。
新聞配達の車が走り始めており夜の終わりも近いようだ。暗闇の中、国道359号の内山峠を越え金沢に降りフィニッシュのコンビニに4時すぎに到着すると朝が始まっていた。同時に着いた参加者とコンビニの店員さんを交えて少し話しを交わしてから、金沢駅近くのビルに設けられたゴール受付に移動した。主催のTさんからPCなどの通過チェックをレシートと写真で受けてブルベカードにサインして提出する。3回目にしてのとイチをようやくクリア出来た。Tさんにお礼を述べてゴール受付を御無礼し、車を停めていた駐車場まで移動。自転車を収納し着替えて身支度を整えて金沢を離れた。
3回目にしてなんとかのとイチを完走できた。気温が高く前半追い風だったのが良かったのだろう。