2日目
カグベニ~ジャルコット (3550m) ~ ムクティナート (3800m)
朝6時に起床。この日も晴れておりロッジの屋上からトゥクチェピークが望める。7時にチベッタンブレッドと目玉焼き、お茶の朝食を採り、8時頃にロッジを出発。支払いは2,000ルピー位だった。
この日は約1000mの標高差を登る。カグベニからすぐにきつい上り坂が続く。ジョムソンからムクティナートへ続く自動車も走れる登坂道をショートカットしながら一気に高度を稼ぐが、登るにつれて眺望が良くなってくる。
200〜300m程登ってカグベニが視界から去る頃にショートカットしてきた自動車道と合流し、その後はその道を歩いて緩やかな上り勾配が続く。ムクティナートを朝出発してジョムソンまで下るトッレカーたちとすれ違う様になり、朝ジョムソンやカグベニを出発して一気にムクティナートまで登る人たちにどんどん抜かされる様になる。
トレッカーが少なくなると、朝ムクティナートを参拝して、おでこに赤いティカを付けたヒンディー教の人たちが多くなってくる。ムクティナートに参拝するのはほとんどがネパール人だったが、最近はインド人も増えてきているそうだ。彼らは乗り合いジープで移動する人も多いようだ。
ムクティナートから流れるジョンコーラ川を下方に望みながら進み続けると、川の対岸には朽ち果てた村の跡や崖に設けられた横穴式住居の跡なども見られる様になる。この跡は断崖の途中にあるのだが、昔は川がもっと高い位置を流れていたのかもしれない。
川のこちら側には放棄された畑の跡も見られる。キンガルの村が近づくとその向こうにジャルコット、ムクティナートも見える様になる。道沿いには林檎畑が見られる様になり、斜面では羊が放牧されている。林檎は丁度収穫時期だったため道ばたでもたくさん売られている。大きいものが1個5ルピー、小さいものが3個5ルピーで、幾つか購入して齧りながら登る。
キンガルの村の中で自動車道から分かれてトレイルを進むと傾斜が急になる。村を過ぎて上り坂に差し掛かり、少し進むとジャルコットの村。古い土壁のある村だが、遠望では崩れている様に見えた。村の中にあるロッジで昼食休憩を取りダルバートを食べる。ロッジの2階からはムクティナート・ヒマールが一望出来る。
休憩後、最後の急な傾斜をムクティナートまで登る。1時間程で村の入り口のゲートをくぐり、本日泊まるロッジ、ホテルナイチンゲールに午後3時過ぎに到着。地図ではラニプワとなっており、ムクティナートはもうすこし奥なのだが、ガイドに聞くとムクティナートとラニプワは一つの村との事で、確かにロッジの看板にも両方の地名が併記されている。
荷物を部屋に置いてムクティナートの寺院を参拝。ロッジから20分程で寺院に到着し、寺院手前にあるお店で線香やティカの粉が揃った参拝セットを購入し、それを持って寺院に入る。仏教寺院とヒンディー教寺院が同じ敷地内にあるが、ヒンディー教の寺院の方が活気があった。
ヒンディー教徒ではないため寺院の奥までは入れないので、寺院の巫女さんにお願いして先ほど購入した参拝セットの中に入っている神様の絵がプリントされたペンダントをご本尊に触れてもらうようお願いする。本尊に触れた事でご利益を得る事が出来るそうで、お土産に喜ばれる。
ヒンディー教寺院の裏には飲むとご利益があると言われる水が流れて落ちている。冷たい水でしたが体に浴びて身を清めてから参拝する人たちも多いそうだ。寺院の脇で火をおこしてお茶を飲んでいるサドゥーから、今晩の食費を喜捨して欲しいと頼まれたので、幾らか渡したらティカと林檎を頂いた。
同じ敷地内にある天然ガスが吹き出し炎がずうっと灯っている寺院も参拝してロッジに戻る事にする。日も沈みかけ寒くなって来た。ヒンディー教寺院にも炎が灯っている寺院があり巫女がいるが、この子はクマリの様な立場で神に仕える仕事をしばらく続けているそうだ。
ロッジに帰る頃には薄暗くなってきた。子供たちはフレンチフライ、フライドポテト、フライドライスを食堂で食べ、私は台所の横でローカルロキシーとトゥクチェブランデーをムクティナートの寺院を警備している警察官たちと飲む。高所で飲むお酒は早く廻る。お酒の後で食べたダルバートはあまり美味しくないものだった。
ムクティナートには沢山の犬が居ると聞いていたが、小さな犬が数匹居た程度。数年前に狂犬病が流行したため、軍が派遣されげ犬を捕獲し処分してしまったそうだ。