5日目
ラルジュン ~ ガーサ (2010m) ~ ダナ (1400m)
朝、ロッジからトゥクチェピークが見える。アップルパンケーキとゆで卵とお茶の朝食を採り、宿泊費を精算すると約2,000ルピー位。昨晩のケーキには卵を5個使用したが、1個50ルピーとカトマンズの8倍の価格らしい。この日は今回のトレッキングの中で最も長い距離を歩く日なので、7時30分頃に宿を出発。
宿を出るとこの日最初の犬を見かける。自動車道に合流後はしばらく山々を望みながら歩き、自動車道がチャッテコーラ川を渡河するために大きく西側を迂回するところで、我々は河原に降りてショートカットして進む。
再び自動車道に合流してしばらくすると、カリガンダキ川の狭窄部に差し掛かる。自動車道はそのまま右岸側を続くが、我々は吊り橋でカリガンダキ川を左岸側に渡る。しばらく歩くとコケタンティという小さい村に到着。この辺りも犬が多い。休憩後再び吊り橋でカリガンダキ川を超え、ラルジュンを出発してから約2時間でカロパニに着く。
カロパニからレテにかけては谷が大きく広がっており開放的な雰囲気。カロパニには警察のチェックポストがあり、国立公園の入園許可証の確認を受ける。チェックポストの前に大きなチベッタンマスティフが寝ていたので、警察官に犬の事を聞いてみたところ、この犬の母犬が子供が生んだというので見せてもらう事になった。警察署の裏に行くと犬小屋の中に母犬と子犬がいた。母犬はチベッタンマスティフとは異なるようだ。カロパニからレテにかけては沢山の犬を見かけた。堂々とした体躯の犬が多く、チベッタンマスティフの血が濃い犬もたくさん見かける。
自動車の通行が可能な道路はレテの村はずれまで。ここから南は現在建設中で、新聞報道では今年の11月に開通するとのこと。数十mの崖を降り、吊り橋でカリガンダキ川の支流のレテコーラ川を渡る。11月に開通するのならば自動車が通行可能な橋梁もほとんど完成しているはずだが何も見えない。対岸に渡ると自動車の通行可能な幅まで拡幅されているが、所々は崖崩れ等のため壊れている。
カロパニから1時間30分程度でカイクーという村を通過し、しばらくすると1軒の茶屋が見られる。雌雄のチベッタンマスティフが飼われている。茶屋の主人の仕事は羊飼いで、その牧羊犬のうち1匹を山から連れてきて番犬としているとのこと。どちらも相当大きく、雌の方はちょうど妊娠しているとの事で、主人と話をして生まれたら譲ってもらう約束をして連絡先を伝えてくる。他にも何人かの人と約束をしているそうで、メモ帳に連絡先が記載されていた。
主人の話では牧羊犬として働いているチベッタンマスティフはもっと体格が大きく、その中でも妊娠している犬がいるのだけれども、出産は山の上でしてしまうので全ての子犬を連れて来れないのでほとんどは放置死させてしまうとのこと。牧羊犬の犬の子供が欲しいと伝えたが、羊の放牧は何ヶ月も山を移動しながら行うので、子犬が生まれたときに里まで連れてくるのも難しく、連絡も出来ないらしい。
茶屋から30分程でガーサに到着。村の入り口近くのロッジでベジタプルスープとライスで簡単な昼食を採り、午後も長く歩かなければならないので早めに出発。このロッジの主人と先ほどの茶屋での犬の事を話をしたら、茶屋の主人の事を良く知っているとのことなので連絡先を伝えてこの方にもお願いする。
村を過ぎ吊り橋でカリガンダキ川を左岸側に渡り、崩壊の激しい山道を通って標高を一気に300m程下げる。対岸では道路工事作業が続けられている。小さな集落をいくつか通り、至る所で犬を見かける。ガーサから約2時間歩いて再び右岸側に戻るとルクセチャハラの村。当初はここに泊まる事も考えていたがあまり良いロッジが無い事から、さらに1時間程歩いてダナまで移動する事にする。
ダナまで来るとタカリ族よりもチェトリ等の人たちの方が増え、ネワール調の家も見られる様になる。4時過ぎに今夜泊まるロッジ、カビンゲストハウスに到着すると、沢山の先客がおり混んでいる。庭にテントを張っているグループもいる。
ダナからはアンナプルナ・サウスを望む事が出来た。山頂から月が昇るところはとてもきれい。夕飯の際にビールを頼み、昨日の残りのトゥクチェブランデーを飲み、スナックとしてフレンチフライ、マトンの唐辛子炒めなどを頼む。
ロッジの主人の話ではテントが張られている庭にも宿泊棟が建っていたのだが、マオイストの寄付要求を断ったら火をつけられたとのこと。この村のあるミャグディ郡はマオイストの活動の強いところで、当時は寄付要求が頻繁にあり、当初は支払っていたけれども一度断ったら火をつけられた。今お客さんを泊めているのは古い建物で、燃えてしまった建物はもっと立派だったそうだ。